タスクアクティビティの抽象化のための分類軸に関する検討

溝口研究室  石川 誠一

1. 研究の背景と目的

本研究室ではAFMとよばれる問題解決の処理を表す動詞(タスクアクティビティ)を最初に抽出する構築方法論に基づいたオントロジー構築支援システムの開発が進められている.その過程でタスクアクティビティのis-a階層を構築することが一つの大きなポイントになる.しかしながらこのis-a階層の構築は決して容易ではなく,しかも現在のAFMではその構築過程が十分に詳細化されていない. そのため本研究ではこのタスクアクティビティのis-a階層の構築過程を支援するための基礎的な考察を行った.

2. is-a抽象の問題点の例

タスクアクティビティのis-a階層は下位概念から共通の性質などから共通の性質を見出し,上位概念を抽出することで構築される.この操作をis-a抽象と呼ぶ.下位概念の本質的な差異を明示化するためには,is-a階層を上から下方向へ見たときに分類の観点が同じ階層で揃っていることが必要だが,初期段階で構築されたものは共通点にしか注目していないため,分類の観点が揃っていないことがある.そこでis-a抽象を検証できるように対応する分類軸を明示化した.

3. 例題におけるタスクアクティビティのis-a階層構築

AFMの手順に従って,石油プラントの復旧運転タスクを主な例題にしてタスクアクティビティのis-a階層を構築した(図1).



図1 タスクアクティビティのis-a階層

4. is-a階層の分類軸の明示化とその整理

構築したis-a階層において,アクティビティの定義の違いを明示化し,概念化した.これを分類軸と呼ぶ.分類軸はタスクアクティビティを分類する際に注目する点を表しており,合計20個である.そのため,分類軸を整理することでis-a階層でのさらに分類軸間の共通の性質を見いだし,それをis-a階層化することにより,一般的に適用できる形にした(図2).



図2 分類軸のis-a階層

5. is-a抽象の検証と中間概念の抽出

分類軸の種類を提示することによって,構築されたis-a階層での分類軸を容易に明示化することができる.これによりis-a抽象の検証を行うことができる.また同じ階層で複数の分類軸が適用されているときそれらを別々に注目することで中間概念を抽出し,より適切なis-a階層が構築できる(図3).



図3 中間概念の抽出

6. 結論

本研究ではタスクアクティビティのis-a階層における分類観点を表す分類軸の整理をした. 今後は分類軸の種類の充実および分類軸に基づいたシステムによる支援を検討していく予定である.