サッカー画像におけるコーナーキックシーンの検出
谷内田研究室 落合 葉月
膨大な量の情報が氾濫している現代社会において,人は様々な情報を簡単に調べたり手にしたりすることができるようになった.例えば,情報が文章データベースであるならば,キーワードを入力することですぐに情報を得ることができる.ところが,それが画像データベースとなると自動検索を行うのは途端に困難となる.
例えば,犬の画像を抜き出したい場合を考えてみる.もちろん世の中には何千という種類の犬がいるであろうし,犬の映っている画像の背景も一様であるという可能性はまずあり得ない.犬1匹を取り出すことすらも現在の技術では難しい問題なのである.つまり自動検索を行うためには,コンピューターはユーザーが与えたキーワードを正しく理解できなければならない.キーワードと言っても,人には感性の差というものがあるので必ずしもひとつの画像に対してひとつのキーワードが対応していることはない.例えば,色の表現にしても,ある人は「緑」と表現するかもしれないが,ある人はその色を「青」と表現するかもしれないのである.画像には無限の意味が込められていると言っても過言ではない.そのような表現の差をうめるためにキャプションを作り始めると自動検索への出口は遠くなっていってしまう.さらに,現代社会は画像を中心としたマルチメディア社会である.画像という情報の中にある沢山の情報を正確に判定しユーザーに必要な情報を与えることができなければ無駄に情報が存在していることになってしまう.そのために,よりよい画像検索のための様々な研究がなされてきている.
従来の画像検索の方法として次のようなものが挙げられる.
1)サンプル画像との類似性を解析する方法
2)要素から画像を解析する方法
3)画像中の物体を直接認識させる方法
上に挙げた方法で共通する考え方は,全画像に対して適用できるアルゴリズムを用い画像の特徴量を抽出し,ユーザーが欲する情報を表現するものとしてしようという方法である.しかし,検索の精度を高めたいと考えるとき,このようなアルゴリズムではユーザーの望む情報の表現は不完全であることが多い.また,そのアルゴリズムがあるシーンにとっては有用なものであったとしてもすべての画像データに適用した場合,必ずしも重要な特徴量を表しているかどうかという点には疑問が残る.そのようなデータをいくら蓄積したとしても検索精度に悪影響を与えるだけである.そこで,ユーザーから与えられた情報により映像の絞り込みを行うことである程度対象映像を限定し,そこから適切な専用アルゴリズムを選択し画像の検索を行うことで検索精度を高めようという方法を提案する.
本研究では,特にサッカー画像においてユーザーが「コーナーキック」という検索キーを与えた場合,コーナーキックを検出するためにどのようなアルゴリズムを設計すればよいかについての検討をおこなう.