半導体生産スケジューリングのモデル化とその二段解法

田村研究室  宮崎 泰輔

1.はじめに

近年の半導体産業における競争の激化により、これまでにも増して、 利益向上のために機械の稼働率の向上、滞留時間の減少、スループッ トの増加という効率的な生産ラインの運用が求められるようになった。 また、消費者側からの多品種少量生産、納期に合わせた生産等のいろ いろな要求に対応できるシステムの運用も求められるようになった。 本論文では、このような半導体生産において生じてきた問題の解決を 目的としたスケジューリング法を考える。

2.半導体生産ラインの特徴

半導体生産ラインでは、複数の工程が各ベイ毎に繰り返し行われる。 このため各機械は工程を繰り返し行うだけでなく、以前その機械であ る工程を施されたロットの別の工程を作業するという特徴を持つ。ロッ トが半導体生産ラインのひとつのベイに繰り返し訪れることによって、 ベイ内にある機械がどの工程のロットを作業するかという競合が生じ る。これにより、どのロットを処理したほうが効率的な作業を行える かという問題が生じる。この競合を効果的に解消することによって滞 留時間の減少とスループットの増加をはかる。

3.半導体生産ラインのモデル化

例では、ベイの数を2つ、工程数を6工程、機械台数を6台、ロットの数 を6個とする。そして、1つめのベイには工程1と4を配置し機械1か2で 作業を行う。ベイ2には工程2、3、5、を配置し、工程2と6を機械3か4 で、工程3と 5を機械5か6で作業を行うという設定にした。

4.二段解法によるスケジューリング

各ロットを各工程の前に配置し工程順に加工するという設定のもとで、 二段解法を用いてスケジューリングを行った。二段解法として、STEP 1で分枝限定法で各ロットの工程を各装置に割り当てる。そして、STE P2で各機械に割り当てられた工程の作業順序を全探索する。このよう にして、作業終了時刻の最小化を目的としたスケジューリングを行っ た。得られた結果として、滞留時間が140となり、最適解に近い解が得 られた。

5.おわりに

二段解法による半導体生産スケジューリングを行い、小さな問題に対し て解を求めた。今回得られた結果は、装置を割り当てたときの厳密解に はなっているが、モデルに対する厳密解にはなっていない。今後の課題 としては、装置の割り当てとロットの順序付けを同時に行い作成したモ デルに対する厳密解を求めることが挙げられる。