センサ・アクチュエータ配置問題のBMIによるアプローチ
藤井研究室 土井 崇司
[はじめに]
橋脚やビルなどの柔軟構造物の振動制御問題に関してコントローラの性能と同様にセンサ・アクチュエータ位置の決定は非常に重要であることは以前から制御研究者には認識されていたが,今まではセンサ・アクチュエータ位置を試行錯誤により決定した後,振動を最も抑制できるコントローラを設計してきた.
しかし,最近,制御対象とコントローラとを同時に設計した方がより良い制御性能を得られると言う,「同時最適設計」の研究が最近盛んに行なわれている.
センサ・アクチュエータの位置を決定するという事は制御対象を設計する事に他ならないので「同時最適設計」をセンサ・アクチュエータ配置問題に適用する事は非常に意味のある事だと考えられる.
本研究では同時最適設計の手法の一つであり,かつセンサ・アクチュエータ配置問題に適用されていないBMIによる同時最適化手法をセンサ・アクチュエータ配置問題に適用する.
[設計の流れ]
本研究では柔軟構造物を代表するモデルであるEuler-Bernouli beam を利用し,外から与えられる力(外乱)のパフォーマンスポイントでの影響を抑制する事を目的とする.
設計の流れとして,まず制御対象の設計可能な部分である,センサ位置,アクチュエータ位置に関するパラメータをLFT表現により取り出す,次に柔軟構造物は一般に無限次元のモードで構成されているが本研究では2次モードまでをノミナルモデルとして扱っているためそれ以降のモードをモデル化誤差としてそれによるロバスト安定性を考慮する.
それらをまとめて一般化プラントを構成し,それをBMIの形式に帰着させ,それをBMIの簡易解法を用いて解く.
[結果]
本研究では,センサのみを動かす場合,アクチュエータのみを動かす場合,センサ・アクチュエータ両方動かす場合,の3種類のcaseでシミュレーションを行なったが全てのcaseで準最適な位置にセンサとアクチュエータを配置する事ができた.さらにセンサ・アクチュエータを共に動かす場合が最もコストを小さく抑える事ができた.
これによりセンサ・アクチュエータ配置問題にBMIによる同時最適化手法を適用する効果があった事が分かった.