決定木を利用した概念相違検出の一手法
大西 健介
知識獲得技術のなかのグループウェアの研究において,グループ知識獲得支援ツー ルの実現は重要な課題の1つである.その際,複数人がグループとして活動する場合 に個人の概念・知識の違いから相互理解が困難となり共同作業が阻害されることがし ばしば問題となる.この問題に対して本研究ではある事象に対するユーザの概念・知 識には各個人の持つ背景・理解度などの要因によって相違が発生すると考え,この概 念相違の検出方法の1つとして各個人の知識である事例を利用して決定木を作成し, その決定木間の関連性をリンクという形で構築し,それらを利用することによって個 人の知識を最大限に尊重しつつ概念相違の検出が可能となるような手法を提案する.

具体的には,決定木間にリンクと呼ばれる相手の事例を自分の決定木に適用して決 定される相関関係を利用した概念相違の候補の検出を行い,概念相違の種類のそれぞ れに対して典型的な事例で作り,その事例を参考にして検出アルゴリズムを設計し, 動作確認をプロトタイプを作成して概念相違の候補の検出をする評価実験を行い,検 出アルゴリズムの評価を行った.結果として検出の精度は一部不満が残るがほぼ満足 できる結果となった.このシステムの使用によって個人の知識形態を崩すことなく概 念相違を検出することが可能となる.